2025年4月25日、文部科学省はオンライン開催された「次世代医療実現のための基盤形成に関する検討部会」の第1回会合(2025年3月26日)の議事録を公表しました。会議では、ゲノム研究の現状と今後の方向性について議論が行われ、国内外のバイオバンクの動向や、日本の研究基盤の強化に向けた課題が浮き彫りとなりました。
世界のバイオバンク動向と日本の現状
会議では、東京大学大学院の鎌谷洋一郎教授が、世界各国のバイオバンクの現状について報告しました。英国のUK Biobankや米国のAll of Usなど、50万人以上の規模で全ゲノムシークエンスや多様なオミックスデータを収集・公開している事例が紹介されました。これに対し、日本のバイオバンク・ジャパンや東北メディカル・メガバンクは、規模やデータの多様性の面で後れを取っている現状が指摘されました。
日本の研究基盤強化に向けた課題
鎌谷教授は、日本のバイオバンクが国際的な競争力を維持・強化するためには、以下の点が重要であると述べました:
- 全ゲノムシークエンスの大規模化
- プロテオームやメタボロームなどの多様なオミックスデータの収集
- データの国際的な共有と活用促進
これらの取り組みにより、創薬や個別化医療の推進が期待されます。
今後の方向性と報告書案
文部科学省は、これまでの作業部会での議論や委員からの意見を踏まえ、「次世代医療実現のための基盤形成の今後の方向性」に関する報告書案を作成しました。この報告書案では、ゲノム研究の推進、研究基盤の整備、データの利活用促進などが盛り込まれており、今後の政策立案の基礎となることが期待されます。
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